おこし okoshi [諫早市] 菓秀苑森長 森淳さん

歴代の職人さんたちがイメージしてきたことを常に意識して、郷土の品格を落とさないようにしていきたいですね。特に黒おこしは創業当初より創られている味ですから、時代は変わっても、その味は絶やさずに守っていきたい。

そのため、フルオートメーション化もできるのかもしれませんが、やはり人の温もりを伝えられる、職人技、手作業の部分は大切にしたいですね。

縁起物のお菓子は庶民の味

【伝統の味わいは縁起物】

承平年間(931年-938年)に作られた辞書「和名類聚抄」にも記述があるほど古い歴史を持つ「おこし」。

大陸から稲作とともに伝来したのではないか、とも考えられる背景には、ミャンマーにもまったく同じ食べ物が存在するという浪漫が広がっています。

日本では、家を「おこし」名を「おこす」という縁起の良さも手伝って、多くの人に食され、伝えられてきました。

【平安期、江戸期、そして現代へ】

広大な干拓地が広がり、古くから稲作が盛んに行なわれていた県下随一の米どころ、諫早に居を置く「菓秀苑森長」さんは寛政五(1793)年の創業当時より「おこし」づくりに携わり、200年以上にもわたって縁起の良い味を伝えてきた老舗中の老舗。

当時の製法は、白米に唐あくをつけ込み、乾燥させた「乾米」に、「黒糖」と「水あめ」を混ぜて熱しながら攪拌するというもの。「お米が貴重な食べ物で、砂糖も高価だった時代、それでもおこしがつくられていたのは、ここ諫早が米どころであり、長崎街道の宿場町でもある、そして、有明海に面し、海路の要所でもあったという土地柄ではないでしょうか」と話してくれるのは七代目社長の森淳さん。

お客様により喜んでいただくために、一部、手を加えた材料もあるそうですが、基本的な製造過程は現在も変わらないとか。

【実直な味、だからこだわりを持って】

温度、湿度、黒砂糖や米、水あめの配合率など、絶妙なバランスが要求されるおこしづくり。材料を攪拌して、おこしとして上げるタイミングは、手で握った感覚で判断するとか。美味しいおこしには、まんさに職人の技が光っているわけです。

そして、森長さんのおこしでもう一つ注目したいのは、「黒おこし」の中でしっかりと主張している、ごっつりとした黒砂糖のかたまり。歯触りや風味、味付けのアクセントにはもちろんのこと、アルカリ健康食品として、血液をサラサラにする効果も期待できます。

黒おこしとピーナッツおこし

商品には、「黒おこし」の他、「ピーナッツおこし」も。

おこしづくり

アルカリ健康食品の黒砂糖は、素材に混ぜ合わせるもの、かたまりとして食べるものの2種類をブレンド。風味、味わい、歯触りが計算されています。

おこしづくり

できあがったおこしを均等に伸ばす工程で手延べの製法を再現した、完全手作業の「復刻版黒おこし」もあります。


(取材協力/菓秀苑 森長)