あめがた amegata [嬉野市] あめがた屋本舗 中村与一さん

佐賀は全国でも有数のもち米の生産地で、長崎のカステラ屋さんにも水飴を卸すほど水飴づくりが盛んな地です。その関係もあって、以前は、多くのお菓子屋さんであめがたが作られていましたが、最近では大分少なくなってきたようです。

確かに、手作りなのでたくさんは作れませんし、手間もかかりますが、できる限り伝統のお菓子を伝統の製法で作り続けていきたいと思います。

中国から伝わった古い歴史を持つ飴

【起源は紀元前!?】

中国の文献によると、紀元前から作られている「飴」。日本でも承平年間(931年-938年)に書かれた「和名類聚抄」などに記述が残ることから、相当古くに伝えられたのではないかと考えられます。

「水飴」を主原料とするシンプルなお菓子「あめがた」もその一つで、古くは生活の節目を表す節供(せっく)にも、飴形節供(4月8日)という名称があったほどでした。

【素朴な健康食品】

そもそも、水飴はもち米に麦芽を入れて水で煮ることでできる甘味料。ビタミン類やミネラルなど、滋養に良い成分を含んでいます。

そんな水飴に空気を含ませながら引くことで、色も琥珀色から純白に変化し、口溶けも軽い「あめがた」ができます。

現在は、その飴生地の中に黒砂糖を挟んで「あめがた」とするのが一般的ですが、この黒砂糖もビタミン、ミネラルなどを多く含み、夏バテ防止や疲労回復などに効果があるとされる自然食品。

産後の母乳の出が良いとのいわれから「乳飴」との別名もあり、祝いの菓子として重宝されたほか、携帯食、保存食としても食され続ける背景には、添加物を一切使わない、素朴でひたむきな製法があるようです。

【自然食だから自然のリズムに合わせて】

創業100年を超え、現在も昔ながらの製法で「あめがた」を作っている「あめがた屋本舗三代目の中村与一さんは、素朴でシンプルだからこそ、あめがたづくりは環境に左右されると言います。

「堅くすると旨くないし、やわらかくしてしまうと溶けてしまって日持ちがしない」と話すように、8月と9月の中旬頃まではあめがたの製造を中止するのだとか。さらに、「雨降りなど、湿気が高いときには生地がベタついてしまう」という理由から、梅雨時も作れない日が続くとのこと。

その形態は、古代中国の頃から変わっていないと考えられる「あめがた」だけに、デリケートなお菓子なのかもしれません。

口に含むとトロリと溶けて、懐かしい味わいが広がる「あめがた」は、独特の照りとツヤを出したり、調味料として煮物などにも入れられたりと、食材としても万能。是非一度、食べてみてはいかがでしょうか。

あめがた屋本舗
あめがたづくり

機械で引くことで、生地に空間ができます。「浮く」と言うそうですが、これによって歯に付きにくく、食べやすいあめがたになるのだとか。

あめがたづくり

あめがたを引く機械は、40年来の年期もの。

のんき飴

長く伸ばした飴を細かく切った「のんき飴」も人気。


(取材協力/あめがた屋本舗)